無技巧 楽器演奏術 の巻

楽器の中でも シンセサイザー と エレキギター は、最も簡単に演奏できる道具と云われているそうな。グランドピアノ や

バイオリン、管楽器は 一生練習して当たり前で、エレガント な演奏をしているように観える ピアノ演奏者 は、体力、気力を

使い果たし全身汗だく。特に若い ピアニスト は余計な力が入っているのか、緊張汁なのか、水をぶっかけられたような

濡れ濡れ状態。繊細な指使いと確かな技術、何時間でも演奏していられる充分な体力が無ければならないのだそうな。

飽きやすい方は、クラシックピアノ を習っても シャープ がどうした、フラット がなんたら、クレッシェンド、ディミヌエンド 、

弱く弾いても サスティーン を伸ばせ、楽譜が ルールブック だ、と怒られただけで嫌になるのだそうな。ピアノ鍵盤 は

ストローク が深く重く、ちょっと弾いただけで指先が痛くなってくる。そこへいくと、シンセサイザー、特に Emu Emax は

へロヘロ ふにゃふにゃ鍵盤 なので、音色を選べば好き勝手に弾いても其れなりに聴こえる。適当に弾いた メロディー や

バッキング を シーケンサー に取り込んで エディット すれば、一曲、一丁上がり。クラシック や フラメンコギター は

弦の張力が強く、ネック も太いので コード を押さえるのが大変だが、手が大きい小さい、指が長い短い事による有利、

不利は演奏に関係ない。あまつさえ、自分の工夫次第で独特の演奏法を考えつくかもしれない。とはいっても、弦を押さえる

のに難儀しないように、張力の弱い ネック の細い エレキギター を手にすれば そんなに練習しなくとも、特に エフェクター

を通すと上手そうに聴こえる。趣味で楽しく楽器を演奏したいのに、最初の取っ掛かりで躓いていたのでは勿体無い。

縦笛 でも 尺八 でも シンセ でも グランドピアノ でも ガットギター も エレキギター も、極限まで演奏法を広げると簡単

ではないが、簡単そうな手応え喉応えの楽器を手にすると (口にすると) 演奏方法の道が拓けてくるそうな。

また、縦笛 (リコーダー ) を 「ピ〜ヒョロ〜〜プイィー」 と吹いても、エレキギター を 「ピキ〜ン、ブチッ、ガリリンッ」 と

弾いても、それはそれ、前衛音楽、実験楽曲に使えるかもしれない。 ( 因みに ガットギター の ガット は 羊、豚などの

腸から作った細い糸、腸線だそうな )

とある式場での事。エレクトーン奏者 の生演奏が 売りものの筈なのに、たどたどしい音を奏でていた。最初、前衛音楽

なのか? そのような演奏形態、楽曲なのかと思ったが、その場の雰囲気を ぶち壊すような只の下手な演奏者だった。

練習していないのか、その日の体調が悪かったのか、準備不足なのかは知らないが、アルバイト だろうが正社員だろうが、

1円でも報酬を貰っていたら プロ なので、素人にも判るような へタレ演奏 などせずに、ミス を カバー するような方法で

演奏できないのですかね。若しかして、ナントカ音楽スクール の 能書き専攻科 に通っていたのですか。実践で活用

できない音楽理論、演奏技術は無駄とは思いませんが、鍵盤に ベロシティー 機能が付いているのに、音に強弱のない

チャラチャラ とした ダイナミック さに欠ける御堅い演奏法が基本だとしても、ズッコケへタレ演奏、何とかならないの

ですかね。卒業証書の ”御墨付き” を貰いに行っただけなのですか? 機械の自動演奏のほうが よっぽど マシ ですけど。

また、ソレとなく 音楽スクール出身 の方が アレンジャー のところに就職しようと、自信満々に出向いて行ったそうな。

アレンジャー (編曲者) が ピアノ鍵盤 に手を置いて、これを転調 したらどうなるか? との簡単な質問をしたら、暫く考えて

いたそうな。考えた瞬間に面接終了、御帰りは こちら〜 との事だった。頭で弾いても意味が無いのだそうな。

( ヘディング ですか?)

たかが楽器を覚えたいだけ、弾けるようになりたいだけなのに 「先ず講習を受けて、音楽の基礎をみっちり勉強してからで

なければ絶対に駄目、理論が判って、それから楽器に触ってと、技術を身に付けられるのは受講料の多さに比例する」

などの能書き、御題目が有り過ぎる。気の短い方だったら、自衛隊、いや、じれったくなって嫌になるし、それだけでも楽器

が嫌いになる。音楽スクール に通って音楽嫌いになる、これまた如何に。そんな根性の無いことを言っているようでは

お話にならない、余計な事など考えず従っていれば良い、などと昔の体育会系 脳味噌の 「有無を言わさず体で覚えろ、

己の汗の量と技術は比例する、練習する事に意義がある、何も考えずに言われた事だけ行なっておれば良い、生意気だ、

口答えは 100年早い、世界記録保持者 の 爪の垢 を煎じた茶を飲んだのだから、死ぬ気で 2秒縮めろ!。蛙の空揚げを

昼飯に食ったのだから、あと1M高く飛べ、俺がこんなに ”一生懸命” になっているのに、なんで記録が伸びないんだよ!」

などと、クラシックコンサート の汗まみれ演奏者 とは似て非なるどころか、全く逆の位置にいるし、気合いや根性では

弾けません。それどころか、目を血走らせて余計な所や文字通り 肩に力が入って ”ぎこちな演奏” になる。楽器を自分の

ものにすれば良い、といっても ギター を騙くらかすわけではないし、” 精神力で弾く ” などの幻想も必要ない。

ギター の コード は、本が 一冊できるほどの量があるそうな。ところが ドッコイ 基本的な コード は 五つ しかない。

その基本コード を基にあらゆる コード が出来ている、作られているのだそうな。ギター の練習を始めた頃、分散和音は

難しい、新米には絶対弾きこなせない、10年は修行だ、と言われたことがあって、分散和音の意味も教えてくれなかった。

調べてみると アルペジオ の事だったので拍子抜け。マイナーコード だ、テンションコード だ、メジャースケール だ、

コード進行だ、ハンマリング・オン だ、と 専門用語 が山のように有るので、一見難しそうだが判らないのではなく知らない

だけ。知らない言葉、単語、形式は難しそうに思えるだけで、実際は 「なんだこりゃ」 と苦笑いするほど単純な場合が

多いし、全部の コード を知っていなければ絶対に駄目だ、などと大袈裟に大仰に不埒者めが〜と、身構える必要もなし。

この曲は難解だから絶対に弾きこなせない、逆立ちしても不可能、(倒立したら弾けない) 才能と センス が無ければ

練習しても時間の無駄、無意味だ、と言われて ハイ そうですかと、最初から諦める方も居れば、寝食も忘れて練習した

結果、腕前を上げる方も居られる。スケール練習や コード進行、リズム に合わせた ”地味” な練習をしなければ、難しい

曲は弾けないと云われているそうな。自分の思い通りの音色を奏でてくれるまでに、殆んどの方が嫌になって、飽きて

楽器を手放す。放り出された楽器自身は、弾き手が操作しなければ何も答えない。パソコン も触らなければ自動で演算

などしない。練習すればするほど綺麗な音色を奏でてくれる楽器は、(エレキギター は汚くても可) 打てば答えるし、

ちゃんと帰ってはくるが、その日の己自身の体調が演奏に現われる時がある。プロ は体調が悪くとも余裕が有るので

平均以上の演奏をするのだそうな。また、上手い方は楽器がどういうものなのか、どう弾けば良いのか、などの技術的な

方法論が判っているので、全く同じ ギター を渡されても音色が違う。弦の押さえ方なのか、ピッキング のやり方が違う

のか、ミュート が上手いのか。いい加減そうに、ラフに弾いているように観えても、実際には弦への微妙で繊細な接し方

だし、飽きもせず (失礼) 基本的な練習をしているのだそうな。基礎練習で飽きたのでは楽器が勿体無いので、偶には

ハチャメチャ に弾いたり、弦や ネック、ボディー の振動を手の平や体で受けとめて楽しんだり、ギター の マシンヘッド を

煙草で焦がしたり、ジッポーオイル を振りかけて火を付けたりすれば、(えっ?) 地味で面白みの無い練習も、少しは

楽しくなるかもしれない。地味で単調、単純な事や モノ は、簡単ではない。鉛筆で、定規を使わず真っ直ぐに直線を

引くのは慣れないと難しいし、一定の リズム、同じ音色で延々と単純な コード を、ギター や ピアノ で弾くのも難しいが、

自分が どの程度の練習で飽きてしまうのか? というのを、知るのも面白いかもしれない。俺は、私は、楽器の練習など

しない、偶に撫でる程度、と言っていても実際は練習をしている。一度も楽器に触った事が無いのに、自由自在に弾ける

方などいない。口では弾けますが。

ギター を ピック ではなく 5本の指が入る、じゃない、五本の指で弾いて、クラシック もどき、フラメンコ もどき演奏 が

出来るようになったら、ロック、ジャズ、クラシック、フラメンコ、ボサノバ、ついでに 民族音楽 の上っ面だけを真似て

ごちゃ混ぜに弾き、オリジナル音楽 です、決して パクリ じゃありませんと噛ませば、今日から貴方は 孤高ギタリスト。

調子に乗って ピックガード を爪先で叩き、タップ のような音が出れば、これが本当の タッピング。 (えっ?)

弦楽器は確実に弦を押さえて適切に ピッキング、または弓で振動を加えなければ、ちゃんとした音が出ない。

グランドピアノ や チェンバロ は、弦楽器から進化した楽器なので、幾ら難しいとはいえ キー を押せば音が出る。

不完全で不安定、演奏形態が限られている ギター に比べ、多彩な演奏が出来る完成された鍵盤楽器は、ギター を

練習すると適当にでも、いい加減にでも、其れなりに弾けるようになる。

司会業の仕事をなさっている方の コンサート (ラジカル・ ヒステリー ・ ツアー) を観に行った時、鍵盤楽器、管楽器 の

演奏方法について述べていた。その方が言うには、辛い練習までして上手くなりたいとは思わない、其れなりの形に

なっていれば良いのだから グランドピアノ も トランペット も大袈裟に、尚且つ格好をつけて難しい曲を弾いていますよ、

大変な難曲なんですよ、と言わんばかりに顔を引き攣らせ、体をくねらせながら弾く事、吹く事なのだそうな。

その話を聴いて私は爆笑してしまったが、自分が楽しく演奏すれば良いだけ、音を楽しむ為で、なにも哲学書を読んでいる

訳ではないのだからと、まさにその通り。簡単な曲から練習して、それに満足できなくなったら難しい曲を弾けば良いとも

思うが、具体的な演奏法として ピアノ なら 黒鍵 を弾かない、または 黒鍵 しか弾かない。トランペット なら音が出れば

しめたもの。「ブピィー」 と吹いて フリージャズ です、インプロビゼーション です、ピアノ の鍵盤を肘や手の甲で弾いて

前衛奏法 です、と口で吹けば、手で噛ませば良いのだそうな。ジャズ は黒人でなければ、バイオリン は ヨーロッパの

白人 で、琴は 日本人 でなければならない、才能も無く、手先も不器用だから、リズム感が無いから無理だ、と脳味噌が

考えたり思っただけで、己の体が反応して楽器を演奏できなくなる。

つづく。

超絶ギター 演奏 ラクダ師