ふたこぶ ラクダ の戯言 目録 二ページ 目
「デモテープ だか、自宅録音 だか何だか言ってんけどよ、お前さん、ちゃんとに弾けるんだろうな?、ちょいと ギター を
爪弾いてみてくれや、チョちょイ、っとよ、なっ?、」
「然らば、音叉で チューニング を採ってですね、鹿 じゃなくて、ラ、ク、ダ、だよ、ですか?、よいしょ、っと、」
「リズム が ズレてるぞ、それにな、コンプレッサー を使わなくとも音が 一定になんなきゃな、ピッキング も不安定と、」
「難しいんですよ、もうっ、これで手一杯、目一杯、満杯 なんですから、」
「オイラ が手伝ってやろうか?、連係プレー ならよ、1本の ギター を1人 と 一匹 で弾くんだよ、お前さんは Am なっ、」
「痛たたたっ、らくださん、背中に乗ったら重いですよ、二人羽織 じゃあるまいし、ふざけないで下さい、」
「じゃぁ、オイラ が前で、おまえさん が 羽織り だな、」
「背中の フタコブ が邪魔ですよ、ボーカル の ユニゾン じゃないんですから、コラボレーション でもないですよ、」
「せっかく、いい アイデア だと思ったのによ、なんでぇ〜っ、」
「大体ですよ、」 「だいたいよ〜、」 「こんな ギター 奏法なんて、」 「こんなんで演奏かな〜っ、」 「綺麗に弾ける訳がない
でしょ」 「きれいな花には トゲ が!、旦那〜ッ、」 「タイミング が余計 ずれるじゃないですか、」 「クリティカル な テク が
欲しいですね〜ぇ、テクニック が無くって、タイミング も 間 も、プッ、」
「らくださん、そんなの ツインギター 口奏 でも、ハモリ でもなんでもないですからね、今ので、何か思いついたかい?、
でしょ?、らくださん、」
「クリテクニシャン な ギタリスト なんてぇのはな、プロ でも アマ、素人 でもな、発酵するぐらい居るんだからよ、極端なこと
言えばな、アイデア だけで、テクニック が少々おぼつかなくてもよ、演奏には関係ないぜ、」
「そんな筈ないでしょ、先に テクニック ありきですよ、腐っても テク です、常識ですよ、お話になりませんね、」
「なにが アリキ だよ、蟻 と キリギリ君 か?、そんなら オイラ が アイデア をよ、ツイン サイドギター の構成で ギターソロ
一切なし、または、トリプル ベースギター で メロディ、ドラムパート、文字通り ベース を担当の バンドってのはどうだい?」
「なに言ってるんですか?、奇を衒った バンド構成 だけじゃ、目新しいだけじゃぁ 駄目ですよ、例えば、六人編成の バンド
メンバー 全員が ベーシスト ぐらいじゃないと、」
「なんなら 8連 ドラマー リズム 中隊 の ライブコンサート なんかど〜だい、パーカッシブ でいいんでないんか?い、」
「ないん?か、てか言ってもよ、なっ?、3連符、5連符 でも駄目だぜ、強弱の付けられない ドラマー なんてのはな、フッ、」
「おまえさん、オイラ の 口調、真似すんなよ、言ってんことが変だぜ、もう ネタ切れ かい?、プッ、そんなに型に はまって
肩に力を入れんと、もうちっ〜と、大らかに気楽に できんのかねぇ、ギター はな、南太平洋 の 小島 で海岸に打ち上げ
られた死んだ 海ガメ の 甲羅 が引っくり返っててな、骨だか 体の筋 だかが 風 に煽られて 甲羅 に反響した音を、島の
原住民 が興味を持って、それを ヒント に 椰子の実 と 木の繊維 で作った楽器が ギター の始まりだって云われてんだ
からよ、もっと楽しんだらどうなんだよ、」
「海亀 だか ココ椰子 だかなんだか、身体に力を入れるな、って言われても ラクダさん、私の肩に寄り掛からないで下さい
よ、重いんですから、」
「そんなこと言われてもよ、こんな狭い場所なんだから しょうがねえだろ!、それによ、只でさえ いろんな モノ が置いて
あるうえに、なんで 三畳間 の ど真ん中 に 箱火鉢 があるんだよ、コレ が 一番 邪魔なんだよ、」
「粋ですよね、いまどき、」
「そんでもって、キセル で粋に 一服なんてぇ 落語の真似かい?、ギター 弾きじゃなくてな、噺家 のほうがいいんじゃ
ないのかい、お前さん?、煙管に煙草の葉を詰め火をつけ 一回ふかし、トン と火鉢に、の動作が 三秒 で、これが ホント
の 一服 だ、ってんだけどな、」
「喋り口調が、似非 落語っぽいですよ、駱駝、さ、ん、」
「のらくら喋ってないでよ、も〜ぅ、じれってえなっっ、高価な 楽器 を オイラ が ローン で購入、借金両手に、でもなりゃ〜
お前さん の重い腰も少しは軽くなるんじゃないのか?、この オイラ と喋ってる暇が あんならよーっ、ちっとは ギター の
練習でも、」 「らくださんが、」
「喋るから練習に身が入らないだぁ〜?、そんなら、ほれっ、虎目 の ビンテージ レスポール、お前さん名義 の 月賦 で
通信販売 で買っといたから、便利な世の中になったもんで、この オイラ が ギター ショップ なんぞへ足を運んでもよ、
動物は 入店禁止 だからな〜、この ギター の曲面具合なんか すげえだろ、なっ?、プロ への 切符 だぜ、300万 だった
けどよ、月賦だから、御安いもんだろ?、」
「えっ?、ゲップ!、」
「そんなに嬉しいのか?、この オイラ も気が利いてんだろ、ワイン じゃ無いけんどよ、ギブソン社 の レスポール は
1959年製造 が 一番の 当たり年 でな、木材の質、ピックアップ の性能、頑丈な作り、尚且つ軽量で長時間の演奏でも
重く感じない、トラ目 の ブックマッチ ボディー が栄えるよな〜、日本に輸入された頃は、この 虎目 が不良品扱いで
買い手が つかなかったんだってよ、そんとき 買い占め とけば 大儲け だったのになぁ、陶芸品 のように塗装に細かい
ヒビ が入ってるのが また、たまらんなぁ〜、お前さん、この網目状の ボディー 表面 は完璧だよな、音も最高、だろ?、」
「ラクダさん、この レスポール の価値が どんな モノ なのか、判っていらっしゃるんですか、こんなもの、恐くって弾け」
「なんだよ!、顔が赤くなったり青く、信号機 の 発光ダイオード みてぇによ、ネット で、ちゃんとに選定済みだぜ、こんな
安物、弾けねェってのかよ、お前さん のほうが ギブソン レスポール の価値、判っとらんようだな、オイラ がせっかく、」
「そうじゃなくて、月賦 を、借金 を返すのに、そんな大金、」 「演奏で稼げや、大丈夫だろ?、」 「ビンテージギター は、」
「弾き難い、ってのかよ、」 「壊れたら、」 「直せばいいじゃねえかよ、」 「自分で直す自信が、」 「リペア職人さんに
修理して貰うに決まってんだろ、」 「その修理費は、」 「だからよ〜、己の腕 で稼げ、って言ってんだろ〜が〜っ、さっき
まで散々 言いたい放題、仰ってたのに情けないのぅ〜っ、」 「それは ラクダさん でしょ、」 「この ビンテージ、質屋さんに
持ってって、その金で 車 でも買うつもりだろ?、」 「それじゃぁ、自転車操業 じゃないですか!、」 「自動車 だよ、プッ、」
「もう イイ加減に、私に纏わりつくの止めて下さいよ、」
「マトワリ ついてんじゃなくてよ、お前さん の コーチ だよ、おいらはな。結構ですなんて遠慮はいらんよ、コケ、コケッコゥ、
名古屋工賃 で、講習料 は、要、ら、な、い、と云ってんだろ、」
「こんな トン でもなく高価な ビンテージギター でも、良い音で演奏できるかどうか判りませんよ、テクニック 以前に、知識
や教養が必要なんじゃ、よく判らないと思ってる ジャズ も、無理にでも聴いておかないと駄目なんじゃず、じゃないんです
か?、若しかして、」 「なにが、もしかして、なんだよ、もしも〜し、お元気ですか?、を貸すのかよ、プッ、 フリージャズ、
クラシック の演奏を聴けば、知性や教養が身につく、そんでもって ギター が弾けるようになる、なんてのは爆笑だよな、
モシカシテ。 好きでもない音楽、演奏なんぞ嫌々 聴いても、為にも身にも教養に〜も ならんぜ、」
「らくださん には教養が有るんですか?、」 「オイラ にゃ無いから言ってんだよ、」 「云ってることが、よく判りませんが、」
「だからよ〜、らくださん、己で消化吸収が、ギター の練習、昇華だよ、どころではなくて、開放弦でもよ、音楽の感覚が、」
「同時に喋ったら、判らねぇ だろー が!、知識や教養、知性なんてのはな、無い奴ほど欲しがるんだよ、オイラのように
よ、余の言うとうりになりにけり、」 「知識と教養と知性、何処が どう違うんですか?、後学の為に聞きたいんですけれ
ども、」 「だから ジャズ を聴くんだよ、」 「?、」 「?、じゃねえよ、耳から脳味噌へ信号が伝わって音楽を感じてるん
だからよ、ブレインドア を コンコン と ノック されないのか?、knock や knight の スペル は、なんで k 始まりなんだ?、」
「そんな事、判るわけないでしょ、ジャズ といい、ノックナイト と云い、頭が モヤモヤ ですよ、もうっ、」
「その モヤモヤ感 が、教養だよ、」 「えっ?、」
「えっ、じゃねぇんだよ、エ じゃ、工作 の 工 でもないぜ、k だって言ってんだろ、ケ だってよ、ケッ。 お前さん、演奏家 や
CD の音楽を聴いて、頭に何も思い浮かばないのか?、脳の中に 絵作り室 が無いのかよ、他人の弾いてる ギター の
音を聴いて、そこは そ〜じゃないな、コード進行 が変だ、ピッキングミス が、己の 脳味噌 に音色が響いてこない、なんて
ことばかり考え、思ってるだけなら無理だよ、なんだかんだ言いながら、ビンテージ の ギター を手に持ち、コード の練習、
無駄の無い指使い、無駄な指の使い方でも いいんだけどな、弾いてるその ギター の 音色 は良い音か?、高いんだから
良いに決まってる、悪い訳が無い、なんせ ショップ 御墨付き の、温度、湿度管理された ガラス の ショーケース に大事に
飾ってあった 名品 なんでしょ?、か?、お前さん ” 好み ” の ギター 音 なら構わんけどよ、それって ほんとに 良い音
なのか?、己で弾いていて良い音色だと感じてるのか?、と、オイラ が大事なことを喋ってんのに、鼻を穿りながら クロス
で ギター の お手入れ かよ、」
「この ビンテージ、良い形ですよねぇ〜、流石は 女性の体 を基に作られたのも納得ですね、」
「磨いてないで新品の 弦 に張り替えろよ、その色の変わった 鉄の弦 じゃ、ギター の 音色 なんぞ判らないだろ、そんな
基本も、」 「 絶対に嫌です、
古くても ” 弦 も ビンテージ ” ですから、貴重ですよ この 古弦 は、ギター 制作の時に張った ストリングス かも分から
ないじゃないですか、このまま大事に、切れない様に弾き続けますから、職人魂の息吹を感じますよ、楽さん は黙っていて
下さい、そもそも これは私の 財源 からの調達な訳ですよね、それに、この 弦 からの囁きが聴こえないんですか、」
「なんだ唖ぁ〜?、それッ?、お前さん、だいじょぶ、グッジョブ か?、ビンテージ に当ったのかよ、宝くじ に当ったのなら
最高だがな、大丈夫かよ、よぉ、」 「所詮、楽ダ さん には、理解不可能な 次元の世界 ですからね、ふっ、」
「まさか急坂、登りつめ、テンパッてんのか?、呪われた ビンテージ ギター じゃないだろな、」 「それは 御隠居 の、」
「段々、階段、怪談で、恐くなってきたぜ、この ギター弦 を、」 「私の ギター に!触らないで頂きたい、」 「ブチッ、と
千切ると、ど〜なんのかな?、」
「ラクダさん、知識と教養と知性の話は、どうなったんですか?、なんですか、この 小汚い 錆付いた 切れ弦 は?、」
「グゥイター じゃなくて、古弦 だったようじゃのぅ、ふぅ〜っ、前の 所有者 の情念か、怨念か?、」
「弦の話でしたっけ?、k ですか?、」 「弦をよ、ストリングス を機械で作ってるのが殆どだけどな、手作りで巻き上げてる
メーカー も 有るってな話だよ、製造機 が無かった時代は、全部 手巻き だったそうじゃがな、」
「言葉綴りが変でっせ、駱駝さん でっしゃろ?、道楽ラクダ なんでっかいな?、」 「お前さん のほうが変だよ、」
「そんな 手作り弦 や、錆付きストリングス のことなんていいんですよ、ビンテージ君 を弾いて新しい音楽を作りたいんです
よ、」 「新たな音楽、曲、ってのは何だよ、お前さん好みの ロック も、黒人の 民族音楽文化、ジャズ や ゴスペル、
ブルース の パクリ だぜ、どうせ パク るならよ、琴 の奏法を真似て、お前さん、オリジナル曲 でも作れや、なっ?、」
「優美で繊細な琴の音彩の真似など、できませぬ、歴史ある孤高の雅楽など判りかねまする、」
「その変な言い草、逆に失礼だよ、琴 の演奏はなぁ、指の力の必要な、大変な重労働だぞ、エレガント に観えるけどよ、
琴 は ( 自主規制 )って意味が有るんだってよ、お前さん好みだろ?、それは ほこ だったか?、プッ、まぁいいがな、」
「そんな上っ面を撫でているようなだけじゃ、どんなもんでも無理ですよ、神髄が判ってなけりゃ、駱駝さん、」
「そんならよ〜、琴 の楽器の事、50年ぐらい習えや、強力な 黒人音楽 の リズム感、間の取り方、音の組み合わせが
思いつかない、どんな曲が作りたいのかも判らないならよ、ユックリ と流れるように進む、リズム が無いようにも感じる
雅楽 を聴いても、それじゃぁ 無駄だよ、西洋の音楽でも パクッ てろ、電気ギター でも アコースティック でもよ、弦の
キュッ、ギュッ、って鳴る、指が擦れる音は 雑音 か?、ボーカル の息継ぎの 音 は気になるか?、面白いと感じるか?、
邪道か?、」
「余計な音でしょ?、テクニック が無い、下手なんですよ、」 「その音が混ざって ダイナミック に聴こえないか?、弦や
歌声 の、別の 倍音 と考えたら ど〜よ、アナログ の音じゃないのか?、デジタル じゃ、そんな 音 は追加できないぜ、
デジタルノイズ 位なもんだろ?、音添加 出来てもよ、」
「やっぱり、ラクダさん とは話が合わないですよ、」 「音添加 だろ、それ、やはり、やっぱしか?、」
「あまり変なこと言わないで、」 「余りが アマって あんまり か、?、弦 が鳴って ゲンナリ、なんて言うなよ、」
「 画像 」