今更なのか カセットデッキ

巷では デジタル機器が、あたりまえになっているが デジタル録音機 は、ちっとでも オーバーレベル で録音しよう

ものなら、ガラス を引っかくような ガラス が悲鳴を上げているような トンでもない音になる。デジタル装置録音の

レベルを低めに設定すると押し出しの無い、はっきりしない音になる。録音レベルが クリップ した瞬間に ガリガリ

言うもんだから スタジオ での CD製作 は、今までとはまた違った職人レベルの技術が必要なんだそうな。

テープヒス の無い クリーン な音質、音像、高音特性の向上などを目指して デジタル に行き着いたと思うが、

低音の無い スカスカ ヘロへろ音や、チリチリ した デジタルノイズ、録音レベル許容度の狭い デジタル録音機は、

クリーン な音を楽に録音できる モノ として開発されたのなら、本末転倒 のような感じ。

アナログ録音された曲を新たに デジタル で取り直すと、音に厚みの無い、雰囲気の (気分的なものではなく)

欠片も無い音楽が出来上がってしまうそうな。測定器での性能は、デジタル のほうが良いにも関わらず、

0 と 1 の信号に変換する際に微細な信号をカットしている。例えば必要ないと云われている雑音や、人間には聴こえない

もやもやした音が欠落している。スピーカー から出る音は、デジタル信号ではなく あやふやな アナログ音 なので

懐古趣味でもなんでもなく、同じ価格帯の デジタル と アナログ機器 ならば、アナログ のほうが良い音だと思うのは

私だけ? 。低価格な デジタル機器の AD/DA 変換チップ は、簡素化された余り性能が良いとは云えない代物

だそうで、変換性能の良い高価格デジタル機器なら ナントカ なるそうな。音を間引いたデジタル録音機か、

余計な ノイズ まで入った アナログ かは好き好きとは思うが、デジタル だから音が硬い、アナログ だから

ゆったり鳴る、と頭で考えていると本当に そう聴こえるから不思議なもの。例えば、黒い筐体の機器は重々しく、

ゴールドの機器は、煌びやかな音が出ると云われている。表面処理が物理的に影響を与えている、なんとか カントカ、

うんぬん、等々。そんな事よりも、視覚的な要素のほうが影響しているのではないのか? 音は、人間の鼓膜を通して

脳に伝わっている。(電波系ではなく音波系) 感情で音を聴いているとも云われている。良い音のしそうな、高価で

評判の機器だからと作動不良を起こしている場合でも、悪い訳がないと考えただけで 「良い音」 と思ってしまうそうな。

つづく。

孤高の オープンリールデッキ

2トラ 38cm オープンリールデッキ や、宇宙船の内部のような 録音スタジオ で盛大に回る、プロ御用達 24トラック の

高価なオープンリール に憧れたのも何時の日か。未だに アナログオープンデッキ が 主力 で使われているとも

思えないが、ドルビー や dbx など使わなくとも テープヒス のない周波数特性 10Hz 〜 40KHz の圧倒的な性能だった。

ちなみに、人間の聴覚範囲は 20Hz から 20KHz だと云われているので、聴こえない音が出ても仕方がない、

技術者の独り善がりだと散々云われていたが、森の中にいると気分が落ち着くのは何故なのか? 鳥の囀りや、

草木の靡く微かな自然界の音が脳に作用しているからだと気分的なものだったが、実際に測定器で調査してみると、

20KHz 以上の超高音が人間に作用しているのが判ったのだそうな。逆に 1Hz 付近の低周波音は、鼓膜や脳に

良くないどころか気分が悪くなるし、スピーカーユニット を破壊する。

オープンリールレコーダー は、確実に操作したかが判るように、わざと 録音ボタン の押し心地を硬く重くしていたが、

リール が回っている時は作動しているのも判らない位、静かな巨人だったそうな。機器の細部の仕上げも

素晴らしかったが、価格が高過ぎた。精密工業製品を作り上げる日本製オープンリールデッキが、世界の録音スタジオを

席巻していたのかと思ったら、さにあらず。殆んどが、米国製や欧州製だったそうな。何故、世界に冠たる

精密製造工場の日本製ではなかったのか? と調べてみれば、見た目は良くとも実践で酷使すると直ぐ根を上げる、

全体の バランス が悪い、肝心な所がお粗末、メンテナンス性が悪い、など悪評の数々。一般ユーザー には満足されても

プロの現場で何十時間も動き続けなければならない電装系の頑強な面と柔軟さ、性能を発揮し続けなけれならない、

埃や泥にまみれても、お構いナシに疾走する ダンプカー のように粘り強く繊細な構造になっていないという事で、

安心して使えないから駄目なのだそうな。そこまで仰るのなら、歴史のある アメリカ製 の オープン様 をと観てみれば、

大雑把で ゴツイ 筐体、仕上げの悪い変な形の メカニカル部品、ガチャガチャ と五月蝿い操作感、こんな野暮ったい

マシン のどこが良いのか? と思った時点で、それは島国日本人の感覚で、「何が 一番重要か?」 が分かっていない。

オープンリールデッキ は良い音で操作性が良く、壊れず最後まで性能を維持できれば、形が野暮かろうが、仕上げが

悪かろうが関係ない、という考え方。性能に関係ない部分の事を (または全体)、チマチマ 言っている位なら

自分で作ってみたら? と云われているような気分になる。ゴツ くて見た目の悪い部品ひとつ取り上げても、理詰めで

考え抜かれた結果、その形状と部品の組み合わせになっているだけなのだそうな。また、オープンリールレコーダー を

企画、設計、試作、検証するにしても、1人、多くとも 2人 で作ってしまうが、日本では グループ で分担しながら製作。

逐一 上司に報告させて、 失敗しそうな危ない橋を渡らせない 。良い アイデア が有っても、上司が駄目だと言えば

それで おしまい。革新的な構造を盛り込んだ 国産レコーダー も有るが、海外製の上っ面を真似ただけの

モノマネ猿レコーダー が目立つ。何時までも そんな事をしているから、有能な エンジニア が外資系や海外に

逃げてしまうと思いますが、どうなるんでしょうかね?

見た目と、変な所に お金 と神経を使う日本人ならではの モノ に、録音スタジオ がある。海外の有名な スタジオ に

行ってみた方に云わせると、掘っ立て小屋 と間違える程の 木造平屋建て の ヘンテコリン な スタジオ だった。

音が漏れるのが心配になるほど 録音ルーム の ドア も ボロボロ。本当に ここが 有名ミュージシャン御用達 の

スタジオなのか? と訝しいほどの オンボロ さ。かたや日本の スタジオ は 原子力潜水艦 の内部か、

シャドー の地下基地か、最新鋭 戦闘機 の中に居るような緊張感溢れる壮観さ。膨大な資金を注ぎ込んで作られた

冷たい日本の スタジオ を訪れた ミュージシャン の方々は、リラックス 出来ずに変に ちぢこまった硬い演奏を

録音して帰っていくのだそうな。その対極にある 有名オンボロスタジオ では、「さて、始めるか、音が漏れてる?

ガムテープ でも貼っとけや、コンソール に足を乗っけるなよ、半分壊れてるんだから」 と言っているかは知らないが、

息の合った乗りの良い演奏が良い音で録音できれば、それで良しという考え方。録音したものが ミュージシャン や

スタジオ関係者の納得できるものなら、それで完了。ところがどっこい、日本の スタジオ に従事している方は、

音にホンの少し濁りがある、リズム が 10ns ずれていると、弄りまわす編集さ、いや偏執さ。ガチガチ に寸分の狂いも

なく作られた曲ほど、つまらないものはない。硬く ダイナミックさに欠ける演奏とはまた違った、こじんまりとした

つまらなさ。セミプロ の ミュージシャン が、自分の オンボロレコーダー に自作の曲を録音して レコード会社 と交渉。

晴れて メジャーデビュー する事になり、手術室のような 無味乾燥 レコーディングスタジオ で同じ曲を取り直したら、

「なんだこりゃ 演奏曲」 に成り下がってしまったそうな。 タタミ 壱畳 も無いような ガラス張り の 録音ルーム、ギター の

ヘッド も、身動きも出来ない狭っ苦しい 録音ボックス、古いガレージ の中の フェアライト CMI シンセサイザー、

フォ〜ェ、と 素っ頓狂な声を サンプリング、それを 音楽アルバム へ取り込む トッチャン坊や のような オペレーター、

かと思ったら ピーター・ガブリエル だった (失礼) 、のようなものか?。

己 の曲、バンド が売れて タップリ お金 ができると、何時かは プライベート スタジオ を、自分の好きなように、使い易い

ようにと考えながら 高価な機材 や 楽器類 を購入、自分の雰囲気に合う、高い スタジオ代 も気にせず、思う存分 曲が

作れる環境を手に入れたい、と作ってはみたものの、楽曲も出来ず、作れたところで 固定ファン にも受け入れられず、

悪戦苦闘の連続な場合が多いそうな。借りている 録音スタジオ より、広い プライベート レコーディングルーム のほうが

良いに決まっている、と考えても、逆の意味での緊張感が無くなって、または 大量の機材 に振り回されて、曲の アイデア

が思いつかなくなるそうですが、ギタリスト の エリック・クラプトン は 貸しスタジオ に ひとり で ひょっこり、ギター 1本 で

現われて、エフェクター にも繋げずに トン でもない 演奏 を 短時間 で録音、こんなもんでいい?、と、エンジニア や

ディレクター に飄々と感想を聞くそうですけれど、どうなんでしょうね。

つづく。