それって 自分の曲なの?
むかしむかし、或るところに アナログテープレコーダー というものが有ったそうな。最初は ステレオ 2チャンネル の
たいそう原始的なものじゃった。民衆の声を聴いた レコーダー製作所 が、皆に使ってもらおうと切磋琢磨の末、
2チャンネルから 4チャンネル、8チャンネルへと進化していったそうな。8チャンネルもあれば大抵の事が出来る。
チャンネルの空きが無くなったら、ピンポン録音をすれば良かった。音質は少し悪くなるが、アナログテープ独特の
厚味のある しっかりとした音質じゃった。暫くしてから デジタルレコーダー という 0 と 1 の信号しか入っとらん
テープヒス のない レコーダーが、発売されよった。わしは期待した。これなら ピンポン録音 をしても音が老化しないと
思ったからじゃ。早速、期待に胸躍らせ、販売店に行って操作性、音質を確かめたのじゃ。その結果が、
「なんじゃこりゃ?」 という わしの感想じゃった。
余りにも期待しすぎて、落胆したというよりも こなれていない、完成されていない発展途上の試作品のような
デジタルレコーダー だった。全体に音が硬く厚味は無いが操作性は非常に良く、アナログレコーダー の比ではない。
デジタル機器の中には、編集作業に重点をおいた エディットマシン のようなものもある。コピーアンドペースト を
して簡単に曲を繋ぎ直すことも自由自在。デジタル信号は、何度コピー を繰り返しても信号が老化しないので
CD から音を抜き取り、フレーズサンプリング操作を繰り返して新しく曲を製作する事もできる。また、楽曲に
エフェクター処理をして お手軽 リミックス 改造曲 に作り変える事など お手のもの。アナログレコーダー時代には
テープ に ハサミ を入れて文字通り、切り貼り編集を施した コラージュ音楽 もあったそうな。なにはともあれ、
ミュージシャン や 作曲家 が何ヶ月も掛けて製作した曲を、操作ボタン ひとつで切り貼りしたり、アレンジ したり、
エフェクター処理をした だけの モノ を、自分の作り上げた曲と言えるのですかね? 曲の頭を反復させて
「な、な、な、なんじゃこりゃ、なんじゃ、なんじゃ、こりゃ、こりゃ」 として作り変える テクニック は斬新だった。
発想は良くても、デジタル機器 の性能が上がっただけの、操作上の技術だけだと思うが、他人の作った曲を
いくら弄っても他人の曲でしかなく自分の曲ではない。他人の曲を フレーズサンプリング で パクッ て作り上げた
万人受けする曲よりも、ヘタレ な自作曲のほうが マシ なのではないのですか? しかし、辞典で 「曲」 を調べると、
「音楽作品。正しくないこと、間違っていること。いろいろと変化する面白みや、うまみ」 とある。という事は、
「何でもあり、パクリ放題、著作権ギリギリ、他人の曲も自分のもの、なんでもござれ、人の女も自分のもの」
なのですかね。 (えっ?、なに?) 音楽は自由なものだとしても、著作権法で保護されている。何小節目までは
パクッても大丈夫、ここまでだったら著作権に触れない、などと拡大解釈していって、原音に軽く エフェクター を
掛けただけのものを販売出来たりもする。しかし、そんなに甘くない。著作権法に触れてますよと、脅されたりして
恐喝まがいのこともある。有名女優 画像の顔を パソコン で挿げ替えて、コラージュ画像を製作販売していた
出版社が、損害賠償請求されたりすれば その会社が倒産するかもしれないし、個人の場合、自己破産街道まっしぐら。
ほんの小遣い稼ぎのつもりが、一生かかっても払い切れないほどの請求を受けて、尚且つ 懲役刑 のオマケつき。
本人は顔面蒼白かもしれませんが、爆笑してしまいます。洒落でやるなら構わないが、他人の曲を コピー している
だけでは つまらない。ドラム、ベースなどの 音ネタ を全部自分で サンプリング して、曲製作をしなければ駄目だ、
などと言っているのではない。最近は性能の良い低価格でコンパクトな PCM 音源 もあるし、ソフトシンセ と
組み合わせた シーケンサー もある。それだけでも オーケストラ楽団 を、自前で持っているのと同じなのだから
アイデア次第でどうにでもなる。アナログテープレコーダー しかなかった頃に較べて、デジタルシーケンサー での
エディット も簡単で、極端な事を言えば シーケンサー と音源さえあれば、楽器が弾けなくとも曲ができる。
コード進行、スケールの理論など後からついてくる。まず、音楽概念を勉強して楽器を練習して アレンジ を習って、
などと考えていないで、自分の頭に思い描いている曲を シーケンサー に入力するだけ。機材の取り扱いが面倒でも、
弄っていれば慣れてしまう。自分なりの操作方法を編み出せるかもしれないし、スケール理論が解らなくて
無視した結果、とんでもなく独創的な曲が できるかもしれないし、只の へタレ曲 になるのかは自分次第。
それにしても、エレキギター の録音は、難しいですね。 ( ボーカルは?) 楽器のなかでも ドラム は演奏するのが
難しく、どんな リズム でも叩ければ プロ になれるそうな。生ドラムを叩ける テクニック も運動神経も体力も
置き場所も無いので、安いデジタルドラムマシンを使用していたが、 変拍子のような奏法 や 気に入ったドラムの音色
を曲に取り込もうとしても中々できない。簡単そうに聴こえるものや観えるものほど難しいとは、この事か? と考えたが
ただ単に ドラムマシン の リズムパターンやドラムロール に頼っていただけだった。リアルタイムで打ち込みをするのに、
ドラムマシンの パッドボタン や シンセの鍵盤 を 木の棒で引っ叩いているのかと思いきや、知人が両手の指先を使って
鍵盤に難無く打ち込んでしまったのを見て 意気消沈、嗚呼。
つづく。
WAVE コンバータ SCMPX
CD のステレオ サンプリングレート 44.1 khz でも音質に不満があるのに、mp3 など聴けたものではない、
ガラス を引っ掻いているような キンキン と硬い音で、チリチリ とした デジタルノイズの気になる、データ を
間引いているような、お手軽 音楽再生 規格品 だと思っていた。試しに mp3 の曲を正規に ダウンロード してみると
音質が意外に良い。少々音は硬いが、CD の 10分の1 の データサイズ しかないのに、パソコンのスピーカー、
ヘッドフォン で聴いているのなら充分すぎる。OS に付属しているメディアプレーヤーでも聴けるし、今更ながら
良い時代になったものだと試聴した後、サウンドレコーダーに音を取り込み、エフェクターを掛けて保存したまでは
良かったが、WAVE でしか保存できない。WAVE 形式だと MP3 の 10倍の容量になってしまい、何百曲もの
データ を保存したら ハードディスク を圧迫する。自前の CD をパソコンに取り込んでも なるべく容量が増えないように
mp3 に変換できる フリーソフト が無いものかと、Web を 一回り してみると SCMPX なるもの発見。
使用してみると、これが フリーソフト なのか?と思うほど使いやすく、音質も安定しているし、コンバートも時間が
掛からない。製作した方に感謝。曲を ダウンロード する場合は、ちゃんと正規の手続きをしてからにしましょう。
どんなに下らなく、安直で軽薄で、聴く時間も勿体無く、お金を払う価値など全く無い曲だとしても、著作権は
有りますので、違法 に ダウンロード するのは 止しましょう。