自動二輪 公道講習会

400cc の免許を取って、ストーブ のような発熱量の バイク で いざ出発。初心者に有りがちな レーサータイプ の

マシン だったが、真夏でも気温が下がってくると寒がりにとっては不快なので カウリング は必需品。自動車よりも

目の位置が高いので何時もの道でも景色が違って観える、乗用車と違って開放感が全く違う。渋滞したら

ストーブエンジン で地獄だが、少々暑くとも真夏の風きりは心地よい。真冬に好んで走る バイカー も居られるが、

完全防寒装備でも凍傷になりかねない、寒いのが苦手な者にとって、キンキン に冷えた真冬を走るのが、切れるような

極寒がいいんですよ、と マゾヒティック な事を言われても走れない。などと呑気な事を考えながらも 天下の剣、

箱根 に近づいてきた。流石は険しい箱根山、道路の ガードレール が グチャグチャ に折れ曲がり、スリップ跡も滑らかに

道路が まだら模様。錆び付いて何時落下したのか不明な転落事故車の数々。試し乗りに来たのか、発売されたばかりの

新車が道路脇で ボンネット を への字 に曲げて立ち往生。私も事故を起こさぬようにと思いつつ慎重に走っていると、

目の前に クレーン車。車が転落したのかと、この先の道路は通行できるのかいなと、バイク を降りて吊り上げ現場へ。

1人の男性が心配そうに作業を見守っていた。怪我人でもいやしないかと、転落車を眺めた瞬間、その若者に

「なに見てんだ、われ〜 こちとら遊びじゃねえんだよ!、みせもんじゃねえぞ、俺の車のように崖から叩き落して

やろうか、!」 と、すごまれ野次馬のように言われ、一服もせずに バイク で耐酸、いや退散。「俺の車」 ということは、

テンパッ ていたあの若者が、運転していて崖から ダイビング ということか? 怪我も無く良かったと思いつつ、前方で

2台 の車が バトル をしている。流行は バイク から乗用車に変わって久しいが、後方から眺めているのもまた楽し。

2台 の乗用車は山坂道を攻め込んで、激しく スライディング、いや ドリフト か?。一台は コンパクトカー、その後ろには

大柄な スポーツカー。ただっ広く、真っ直ぐな高速道なら まだしも、急坂の ワインディング道 には軽く小さい乗用車の

ほうが有利。大きな ボディ の後続車は かなり梃子摺っていたが、双方とも事故を起こさないでね、と考えながらも追従。

ドライビング技術が上手い、俺のほうが速い、車が潰れても絶対に抜かせない、などと考えているほど間抜けなものは

ない。事故を起こさない事が 一番上手い運転なのだからと、慎重に モタモタ 走っているうちに バトル車 は遥か彼方へ。

初心者には キツイ 曲がりくねった道路を暫らく走っていると、後方から重厚な排気音と共に バックミラー に 一台の

大型バイク。排気量の大きなその バイク、エンジン の回転も上げずに トルク で急坂を登ってきた。道を譲り、

先に行かそうとしたら横に付かれて、その精悍な感じの お兄さんが 一言。 「ついてこれるかな?」 えっ?、と思う間も

なく、何時の間にやら 講習会 の始まり。頼んだ訳ではないのですが、こちとら 初心者 なもんで、とも思ったが、ぎこちない

バイクさばき で 新米君 だと感じた ベテランさん が気を利かせてくれたのか、と勝手な事を考えていると中途半端な競争

の始り。こんな曲がりくねった急坂ならば、アルミフレーム で軽量化された 400cc のほうが有利、なんて手前勝手な思い

など 湯元 に置いてきた様に、アクセル開け過ぎで ウイリー 状態。後ろに引っくり返りそうに、己の乗っている バイク に

千切られそうに、アクセルグリップ から手が離れそうな位の加速でも、前方の 大型バイク は涼しい顔。この 国産中型

バイク、アクセル を開け気味に、ちゃんと体重移動が出来ていないと曲がってくれない。アクセルワーク で リヤタイヤ が

スライド気味に、「パワースライド かな?、開け過ぎだよ、」 コーナリング中にも 「傾けりゃ いいってもんじゃないぜ、

ブレーキ を引き摺ってるよ、リヤブレーキ が バタバタ だよ、ガードレール目線 だと オーバーコーナリング で死んじゃう

よ、」 もう死にそうですけれど。リッターエンジン の音が上がり、坂を 一気に登って行ってしまったが、ここでやっと 一息。

芦ノ湖 に到着後、緊張をほぐそうと 自動販売機 で飲み物でもと、思っていると 「よっ、バイク には慣れたかな?、面白

かった?、クラッカー でも食べるか?、」 と、あの リッターバイク の オニイサン が。それどころでは有りません、冷や汗

と 緊張汁 で、固形物 など喉を通りません。  暫しの雑談の後、出発。 静岡方面の 東海 へ行こうか 西伊豆 か 修善寺

も、真っ白 砂浜、エメラルド・グリーン の、此処は日本か?、白浜海岸 も良いかも、と思いつつも帰宅の路へ。

降りは フロント へ荷重が掛かり、セパレート/バックステップ の前傾姿勢は苦痛の連続。フロント が滑ったら、前転3回と

コロコロ廻るかも。 しかし、今日の私は乗れてる、小雨が降ろうが路面が凍ってようが、お構いなし。などと思い込むほど

怖いものはない。 登りと同様と慎重走行。 箱根から高速道へ入り法定速度走行。

アドバイス も戴いたし、少しは テクニック が身についたかも。 コーナー が近づく。 傾ければ良いというものじゃない。

アクセルワーク と 体重移動 が 二輪の基本操作 である。 ハンドル をこじってはいけない、リア・ブレーキ とステアリング

操作は マシン操作 の切っ掛けにすぎない。 フロント の ブレ-キング は必ず コーナー進入 までに終らせる。

体重を ステップ へ移動。 倒し込もうと思っても車体が ピクリ とも動かない、ギャァーーーーーーー―――― 曲がれない。

思い切り力任せの ステアリング引っ張り倒し込み。 アクセル ちょぃ開け コンクリート塀 が迫る。ヘルメット の シールド

曇りと潮風と遠心力。 死ぬかと思た。  なんだよッ、基本忠実だと死ぬのかょ。 これは基本じゃないのんか?。

高速道路 は恐ろしい、 一般道の緩やか ツーリング が、景色が流れる、風がそよぐ、木々の トンネル、タイトコーナーへ

体重を傾ける。 突然の 赤色信号機、ブレーキレバー が折れるほどの、リアブレーキ が曲る程の パニックブレーキング。

シフトダウン の暇さえも、前後の タイヤ が ロック、蛇行走行停まらない。 バイク を倒すのだけは絶対嫌だ、満身の力を

込め、とっくに止まってるけど車体が斜め停止。 思い切り引き起こそう、アクセル全開、フルスロットル。 キルスイッチへ

指が,とどかない。 確か 1速 へ ギア が入ってたような。 クラッチレバー放せば、独楽バイシクル か。 アスファルト へと

絶対傷つかぬ様 置き、両足腰使って 車体 は戻る。 良かった〜ッ、バイク は、  プ ッ。

つづく。