砂漠の CAMEL 砂丘 ラクダ

「よォ、よオッ、起きろよ、何時まで寝てんだよ、起きろ!、」

「誰ですか、貴方は?、」

「決まってんだろ、模型師ラクダ だよっ、なんだいナンダイ、布団の上で 模型 を作って そのまま寝ちまいやがって、

その 煎餅布団 は 作業台 かい?、それとも 卓袱台 かよ、寝返りうって模型が オシャカ になるぜ、」

「細かい作業の連続で、片すのも面倒で、」

「で、なんだよ、塗料をちゃんとに、筆や 溶き皿 を綺麗に洗っておかないと道具が傷むぜ、特に 面相筆 の筆先は

繊細なんだからよ、大雑把な お前さん のことだから塗料を攪拌、混ぜ合わせるのに ビン に筆を突っ込んで グリグリ

なんてな、いい加減な作業じゃないだろうな、安くとも高価でもよ、そーゆうのが本当の メンテナンス なんだよ、塗料の

ビン から 溶き皿 に移す時もな、なるべく ビン の 口 に塗料を付着させないように、縁を綺麗に保っとかないとよ、

乾いた細かい塗料が混ざり込んで塗り上がりが台無しだな、筆塗りだろうが エアブラシ だろ〜がよ、手荒く扱うと思い

通りに仕上がらないぜ。あとよ、塗料の 粘度加減 は難しい、ってな、お前さん の 紙粘土煎餅布団 の 具合加減 じゃぁ

ないぜ、漆工芸品 のような何十年も修行の大変な作業でもないんだからって、よく考えもしないで海外の 完成模型 に

似せて作って塗ったって駄目だぜ、なんで外国の真似なのかね、その物真似にも 流行り、廃り が有るってんだけど、

なんだろね〜ッ、趣味ってなァ〜っ、流行り廃りで始めたり止めたりするもんなのか?、趣味は面白い、興味がある、

只の暇つぶし、己が乗ってる車を作って飾りたい、コレクション の為、でもなんでも構わないんだよ、組み上げても

巧く纏まらない、塗装の発色が思い通りにならない、なんてのは イライラ だけどな、接合部の形状、手順、筆先の状態、

エアブラシ の散布技術、塗料の粘性、隠ぺい力、色重ねの順番、ピンバイズ の穴あけ、表面研磨 なんかの行程を

高度、高精度に完璧に、なんてこと考えたら キリ が無いけどな、細かい部品を抓む ピンセット でも使い心地に違いが

あるしよ、なんだかんだと考えて、其処から いろんな事に応用できるんじゃないんか?、例えば テレビ の映りが悪い

のを直すには、窓ガラス を長期間 綺麗 に保つには、家屋の 外壁 を自分で塗り直しても 斑 なのは、絨毯 や 畳、

板の間、リノリウム、タイル、フローリング を長持ちさせるには、魚や肉、野菜 を短時間に美味く仕上げるには、なんて

ことに役立つんじゃないのかよ、お金を払って 業者 まかせ、人任せなら簡単で、か?、お手伝いさん を雇えば、そこから

新たな雇用が、ってか?、プッ、金さえ有れば何でも自由自在、思い通りの満足生活で、貴族のように振舞って別の意味

で自己満足、王子様や お姫様の セレブ で優雅な 一時を、食べ物が無ければ お菓子 を食べれば良いのよ、なんで

そんな事も判らないの?、フォッ、ホッ、ホ〜ッ、ってよ、オイラ、自分で言ってて可笑しくなってきたぜ、実際の貴族は

地味に堅実に暮らしてるってな話だけんどな、さっきから気になってたんだがよ、お前さん の 枕元 にある食いかけの

フヤ けた カップ麺 な、饐えた臭いが ココまで漂ってくるんだよ、サッサ と食うなり炒めるなり乾燥させて スナック菓子

に変えるなりな、いっそのこと磯のこと、粉末状に砕いて塗料に混ぜて、荒れた ツヤ無し仕上げ にでもな、湿気を吸って

カビ の生えた模型に変貌だったりな、プッ。乗用車で旅行に出掛けて、車中で 手作り弁当 を広げ、旅から帰って何ヶ月

かの後、車の掃除中に 緑色 の テニスボール が座席の下に挟まっていた、はて?、なんで テニス の ボール が、と

思ったら カビ だらけの オニギリ だった、って 小話、おいら 大好物だぜ、皆が忌み嫌う Penicillium てな アオカビ から

特効薬 の ペニシリン を作っちまうなんて考えつかねえよな、お前さんは ど〜思う?、」

「どぅ 思うも、銅 重いも、有機物 を使うと カビ が生えるんですか?、艶消し塗装に 小麦粉 を混ぜてと考えていたので、

カビ の模型なら オリジナル、なんてこと言わないで下さいね、食材だと勿体無いので、ネット の質問で 蚊取り線香 の

灰を混ぜる、という回答を頂いて 線香塗料 仕上げで、これがまた良い具合なんですよ、表面のザラつき具合、隙間に

入り込んだ埃の纏まり加減、これに雨だれの流れ方、塗装の削れ、剥げ、錆、金属 と 木製部品 の質感の違い、それに

全体の色彩に統一感が有ればとも思いますがね、」

「それだけじゃ〜駄目だな、おいら専門の砂漠上の砂嵐に削られた荒れ加減、海上だと潮風による錆具合、枯れた金属

表面、雨の影響を受けた車体、加熱された チタンパイプ の グラデーション、環境によって様々に変わる事を念頭に

置いてだな、乗用車 が鏡のように テカテカ、ツルツル だからってよ、ピッカピカ な カーモデル に仕上げるってのもな〜

どうだろね〜ェ、」

「それって、私が回答を受けた内容じゃないですか、」 「そ〜かぁ?、それは其れとて為になったろ?、だけんどよ〜、

カップ麺 も粗末に扱うようじゃなぁ、高価な 金属材料 や輸入品の 顔料 なんぞ買っても、お前さんには宝の持ち腐れ、

かもよ〜、大体よ〜」 「大体でいいんですか?、」

「ちっとは真面目に、カップ麺 の原材料は 小麦粉 だろ?、食いもんは溢れ返ってるけんど、麦、トウモロコシ、米、豆類、

魚介類、動物、雑草 の改良品の 野菜、茸、木の実 ぐらいしか 食材 は無いんだぜ、」

「それだけ有れば充分でしょ?、それにまだ」 「蕎麦、粟、稗、馬鈴薯、フスマ、か?、そんなこと言ってんじゃないよ、

メタン、ブタンガス から 合成肉 を作る、てのも美味くない、モデリング に ワイン の蓋に付いてる 鉛板 を使う、ってのも

リサイクル と考えれば、違うか?、真鍮パイプ は加工が、」 「だから何ですか?、砂糖黍 は ?、」

「輸入品の塗料、特にメタル、クローム系 は塗ってから 1ヶ月経っても乾かない位、取り扱いが難しいんだってよ、」

「だから如何様に、」 「イカサマ だぁ?、」 「下らないですよ、チョコレート、ババロア、天麩羅 は ?、」

「加工品 だろ〜がーッ、」 「駱駝さんは 加工品種 ですか?、」 「オイラ は 地球 の 加工種 だよ、競走馬 は違うぜ、

体が デカ くて重いのに、足が細過ぎる、速く走るだけの為に生まれてきた、改造された生き物、おいら と違って繊細で

美しい、金魚 と同じだってよ、雑種 とは違うんだってよ、純粋種、いや待て、逆か?、」

「駱駝さん、って、フタコブ の割りには 競走馬 のような 体形 ですね、」

「お前さん ?、皮肉や茶化しは言うけんど、姿形 が ドウ の コウ のとは云わんだろ、そ〜ゆぅ のはだな」 「でもですよっ、

ラクダさん、美しい方は性格が悪いって、」 「コラーッ、そんなこと云うとらんだろがーッ、」 「馬鹿モノ 、ですか?、」

「この!、糸巻き エイ がーッァッ、 いかん、つい カッ、 となって、すまん、お前さん のような 人類の 純粋種 の 源 は

ミジンコ だったか?、ボウフラ だったっけ?、」

「それは チョット、いや大分 違うと思いますよ、隕石に引っ付いてきた ウイルス が、蒼い惑星 の豊かな 地球 に衝突、

同じ種族で殺し合う、地球上の資源を食い尽くす、凶悪な人類 へと進化、宇宙の彼方からの 地球崩壊種 が 人間 だ、

っていう解釈があるんですけども、」 「それじゃ、お前さんら 人間 は、殺戮生物兵器、メガトン級 の 生きた爆弾 か ?、

怖いのう〜、オイラ は機嫌が悪いと、背中に乗せた 旅行客 に鼻水を吹きかける程度だからよ、なっ?、」

「ちょっと 駱駝さん、それは違うだろ〜がよ、って言ってくれないんですか?、」 「?、お前さんも 一応、人間 だろ ?,

地球上 のあらゆる 生物、微生物 から 動植物 は、月の引力、太陽の熱、光、地球の回転力、重力、風力、地熱 に

掌られてるんだってよ、何時までも、真っ黒な 原油、天然ガス なんぞ吸い取ってないで、自然界には無い危ない 原子の

力 に頼ってないでよ、お前さんも オイラ にばっかり頼るんじゃあ、ねぇーんだよ!、よっかかるなよ、重いッ、」

つづく。