水の流れのような

電気は、プラス から マイナス へと流れる。そんな事は当たり前、小学校の時に習ったよ、何を今更と思っていた。

ところが、高等学校では 「電気は プラス から マイナス へ、しかし 電子 は逆に動いている。トランジスタ の原理は、

ベース は水道の栓、エミッタ は配管、コレクタ は蛇口として作動するが、エミッタ から ベース に入ってきた電子は

コレクタ の強い電圧に引かれて コレクタ・エミッタ間 に電流が流れるようになる」 などと小難しい哲学書を

無理矢理 読まされているような教科書や参考書では、最初から嫌になってくる。「皆さん こんにちは、電子回路の事を

やさしく理解するための マニュアル で〜す」 と、くだけて説明してほしいと言っているのではなく、どうすれば

全ての方に納得してもらえるか、理解してもらおうか、という配慮が全くない。皆さん判っているとは思いますが

などと、「これ位は判るでしょ? 判らなかったら勉強してね」 って、だから今 勉強しているんだろ! と突込みを

入れたくなる。とはいうものの、何でも人に教えてもらって当然、判らないのは教え方が悪い、教えるのが仕事だろ、

というのも言い過ぎ。オーディオ 評論家の 故長岡鉄男氏 は、読者からの質問に対して 「判らないなら自分で調べて

考えたら? そんな事、返答してたら きりがない」 と言っていた。また、ミニムーグ という アナログシンセサイザー を

正規で購入しても、一枚の 回路図 が入っているだけで マニュアル類 が一切 添付されていなかった。

どうやって操作するの? と、ミニムーグ に優しく尋ねてみれば 「自分で考えろよ ビョ〜ン」 と返答されたそうな。


豆電球は乾電池を繋いだだけでも当然のように光るが、何故 灯るのか? 過剰な電流を流すと、どうして フィラメント が

切れるのか? 少ないと何で点灯しないのか?、を判りやすく説明するのは面倒だが、実際に配線すれば作動する。

その現象を計算式で答えよ、フィラメント の温度管理は? 溶解速度は?、材質の違いによる差は? 耐久時間は?、

耐圧は? ガラスの透明度は?、内部の真空度は?、 などと、論文を作る訳でもないのに余計な事を考えていると

何も進まない。記号が判らない、概念が、と足踏みしていないで スタート してしまえば、難解で複雑に観える回路も

同じ事。でも、回路図に載っていない、または省略してある、間違っている回路図は難儀かな。それはそれで中々面白い

ですが。(が?) 電流は プラス から マイナス へ、電子は マイナス から プラス へと、何故 逆なのかと調べれば、

電子の流れが判っていないのに、電流は + から − に流れると人間が勝手に決めたが、(水のように高い所から

低い所へ) 電子顕微鏡が完成して、電子が逆に流れていたのを確認しただけ、実際は − から + へ電流は

流れている、という記述を読んで、なんて イイ加減なんだと感心させられたが、どうなんでしょうね?


単純な作動をさせる ”電気”回路 は、人間が手動で行なえば簡単だが、自動で作動させるには複雑な 制御回路 に

なってしまう。ベテラン の方に何故なのか? と愚問をなげかけたら、それしか方法がない、良い アイデア が有るなら

自分で考えて省略した単純な回路図を作ってみたら? と言われてしまいました。複雑に見える回路図も、実際は

単純な回路の集合体であり、部品の配置、組み合わせは、無限に広がっているのだそうな。

エフェクター の回路も、やり尽くされているどころか、考え方や アイデア ひとつで今までにない独特の音が

作れる可能性が有るそうで、ギタリスト の トム・シュルツ が考案、作製した エフェクターサウンド は 一世を風靡 した。

ディストーション に コンプレッサー が掛かったような、コーラス のような広がりのある、つまったような中音域を

持ち上げたような (えっ?) 独特の音だった。シュルツ回路図 を拝見させて頂くと、部品点数が少なく図面も簡素、

しかし ノイズ は多い。オーディオ と違い、ノイズ も音色の一部としてしまう エフェクター を製作した トム・シュルツ、

流石、MIT。(何それ?) トム・シュルツ のような頭脳明晰な方の 語録 はまた 一味違う。人々の生活は他人が考えた

発明や技術の中で暮らしている、それが嫌なら 原始時代 に戻って、雨雫 でも啜って 岩石 を 棍棒 で叩いてろ、と

考えていたのかは判らないが、市販の エフェクター群 が気に入らないだけで、回路設計 から製作、チューニング まで

こなすところは常人の拘りではない。大金持ちの今でも、半田ゴテ を使って 電子回路 を組んだり、自宅 レコーディング

スタジオ の メンテナンス で忙しいのだそうな。購入機材も高価で特殊なものではなく、ありきたりの安い マイク や

アナログ録音機、MIDI や デジタル は高くて音質が良くない、ミキシング や セッティング に手間が掛かるが、って

アルバム 一枚 仕上げるのに時間が掛かり過ぎだが、時間と資金、人材を湯水のように使って ヘンテコアルバム を

作るよりかは、最新機材 を使えば、より良いものが作られると思っているより無駄がない。この ” 最新 ” 、の意味は

今、新しい、ということか、機材屋さん の売り文句なのか、アナログ だと作動や効果が不安定なので、デジタル技術 を

使って吸う中華、いや、数値化、記号化、それを D/A 変換 させて アナログ に戻し、スピーカー で空気を振動させて

いる。トム・シュルツ は、高速演算装置 の塊のような デジタル は信用できない、と云いつつも、ライブ コンサート の

演奏完成度、音色、スタジオ録音盤 との伸びやかな音の拡がり感の違いに、何時も落ち込んでいるのだそうな。

ライブは、アナログ 録音機再生の場ではないと思いますが、ダイナミック で 即興演奏 の入った自由空間ではないの

ですかね。アルバム を聴いて気に入ったから ライブ会場 に足を運んだら、リズム の ズレ た ノリ の悪い、満足できる

ような コンサート ではなかった、幻滅、もう ファン ではない、アルバム も聞かない、と思われるのが嫌だから、ワイヤ

レス イヤホン で、デジタル な クリック音 を聞きながらの演奏を こなすのか。アルバム は録音の音、生演奏 は

アレンジ も間の取り方も 音色 も、同じ曲でも別の違う 曲調 の ライブ曲 が聴けるほうが面白いと思いますがね。

ライブコンサート では絶対に受けないような、盛り上がりに欠ける、聴き難く ダンゴ のような小振りの マイナー 曲 を、

わざと下手に演奏する ヒネクレバンド、観客の期待を裏切るような 前衛演奏バンド が、澱んだ川 の流れを変えると

云われているそうですけど、どうなんでしょうね。楽器を演奏中に コード を 変調、または音数を増やしたり減らしたり

歌声 の 音色 を くぐもらせたり、その時の気分や バンド 全体の流れに合わせたり、不協和音 を奏でたりと、足りない

ものを補ったり減らしたり、突然、演奏を中断、観客の気分を変化させられるには、己 が頭で考えたことが演奏に投影

できるのは、並大抵では出来ないどころか 楽器 の演奏だけで手一杯、脳味噌に余裕が無ければ無理だと、ギター しか

弾けない、曲 しか作れない、それ以外は何も出来ない方が居る 一方、作曲、電子技術、アレンジャー、スタジオ の

設計、生楽器 の改造など、多彩な能力の持ち主 トム・シュルツ、何故、ライブ の完成度に拘るのでしょうかね。

骨格が決まっている 演奏曲 を軸に、演奏者の即興に任せたほうが音が拡がるのでは?、若しかして ドイツ系 の方は

融通が利かない、己 が引いた 電子回路線 の枠からずれるのが嫌なのか?、ジャーマン民族 は、などと考えたら、

己 の 頭 は固い。硬いのは冷えた氷で充分、雨水 が凍って 氷柱 の、温度変化の 軋み音、コンクリート に落ちる

不規則な 雨の音、この アナログ音 は、デジタル では表現できない。

つづく。

単電源動作、両電源動作