Hans Ruedi Giger
エイリアン の造形や EL&P のジャケットデザインで有名な、H.R.ギーガー は スイス の クール で
生まれたそうな。機械と生物が融合したような薄気味悪い、暗い作品、造形デザインは サルバドール・ダリ の
初期作品から影響を受けたが、退廃的で エロ な作品群は、ギーガー のオリジナル。アルプスの山々に囲まれた
放牧的なイメージのある スイス だが、「理想を売る国 スイス」 と題した文章と現実を描写した写真を観てからは
考えが一変。スイス は福祉国家を建前に国民に重税を掛けて その見返りは雀の涙ほども無いそうな。大企業に
勤めているにも関らず、着たきり雀の従業員は税金が高くて いつもお金がない、と嘆いている。スイス の首都は
ジュネーブ だと思っていたが、ベルン なのだそうな。清潔で秩序のある国際機関が集中する都市 ジュネーブ にある
公園では、麻薬常用者が集まり 注射器を回し打ちして ラリッた中毒患者が街中を徘徊していて、この世の果てのような
暗い雰囲気で 観ていられないのだそうな。実際に スイスに 旅行に行くと、そんな光景ばかりが目につく港町の
ドヤ街 のような殺伐とした国 スイス。いくら個人主義が徹底しているからといっても、注射器の回し打ちで AIDS が
蔓延するからと、国が注射器を支給するのは どう考えても おかしいし、狂っている。暗く、先行き不安で重税の伸し掛かる
余裕のない 建前理想国家生まれ の ギーガー の作品に、それが出ているのでは?と考えた事がある。こんなに下品で、
人間の感情を逆撫でするような造形作品を日本人が作り出したら非難されるのは、必至。その前に、こんな創造物は
考えつかないし、考え出せたとしても中途半端なものが多い。凶悪で グロテスク で エロ な クリーチャー は、なにものにも
似ていないし、機関車と生物が融合したような 人肉列車 など夢に出てきそうで薄気味悪い。肉欲列車 なら変な映画に
有りそうな タイトル だが、考えついたとしても 機関車トーマス が精々。喋る機関車が幼稚という事ではなく、真面目に、
丹念に作られた動く絵本、画物語は、とてもじゃないが真似できない。冷たく硬い光沢を放つ、使い古されたような
金属と ヌラヌラ とした臓物が絡み合っているような ギーガー の作り出した 残虐非道生物。
一度、ギーガー の頭の中を観てみたい。
EL&P の 恐怖の頭脳改革 のジャケットデザインで、ギーガー という歯車が軋んでいるような名前が日本でも
知られるようになった。映画 「エイリアン」 の薄気味悪いデザインをする画家のイメージしかないが、海外では カルト的 な
人気のある孤高の人物なのだそうな。崇拝している方に云わせると 「クール」 なのだそうで、ギーガー が クール地方 で
生まれたからなのか、温度感のない冷徹で感情の欠落した作品群に魅了されたからなのかは知らないが、
判らないでもない。胎児を モチーフ にして、床を這いずりまわっている作品を出した時は、モラルに反しているとして
発禁処分になった。胎児画は やり過ぎとしても、エイリアンの映画に唐突に出てくる スペースジョッキー や
ドッグバスター は、想像力を刺激されるし、別の世界の扉が開く。ギーガー は、デッサン画 や エアブラシ を使った
緻密な イラスト の他に、オブジェ も製作している。女性の体を形取った細身の マイクスタンド や人間椅子など、
購入している方が多いそうな。ギーガー が制作したものなら何でも良い、どんなものでも素晴らしい、悪い訳がない
とは思っていない。盲目的に良いと思い込んで崇拝するなど下らないし、そんな事は 前衛ポップアート師 に
やらせておけば よいのでは?
つづく。