小汚い格好で スポーツカー

外車専門 の 修理工場 で、腕のある メカニック の方と談笑。国産車 と 外車 の部品の値段の差を聞いて、呆気に。

修理費は そんなに高くもないのに 元々の輸入部品の価格の違いで、国産車 で良かった、とてもじゃないけど維持でき

ない、ハイオクガソリン も入れたくない、入れられない、などと考えながら、流石は プロ の メカニック、この道 何十年の

経験と テクニック で、何処に どんな ネジ が使われているか、クリアランス精度、エンジン不調など、音 と 排気ガス の

匂いだけでも判る ノウハウ が頭の中に叩き込まれている。まるで言葉 少なな 仙人 の様。このような方を職人気質な

プロメカニック というのだな、と勝手なことを思っていると、水平対向エンジン の音と共に、シルバー の ポルシェ 356 が

ガレージ へ。流麗で小粋な 356、運転初心者には操るのが不可能、または エンスト の連発、50Km も走らぬうちに、

ガラス のクラッチ が壊れる、と云われている その スポーツカー から、小柄な 初老 の男性が。頭は ボサボサ、流石に

サンダル履き では なかったが、ヨレヨレ の シャツ と ズボン で、「よっ、何時も悪いね、エンジン から オイル が ボタボタ

でさーッ、真夏の渋滞に引っ掛かったのが悪いんだと、気ぃつけてたんだけど、直るかな〜、オンボロ だけど 何十年 も

乗ってんから、手放せなくてさ〜っ、どぉ?、これ、」 「時間を頂ければ直りますけど、」 「じゃ、頼むわ、」 との会話を横で

聞きながら、いったい幾ら掛かるのか?、356乗りの この方、只者ではないのでは?、すると 「 代車は要らないよ、

タクシー で帰るから、直ったら連絡くれれば直ぐ来んからね、そんじゃ、宜しく、」 と言い終わるか終らないうちに、旋風 の

ように。メカニック の方に、やんわり聴いてみると、一度も働いたことが無い、お金持ちの 道楽三昧人生 な方なのだ

そうな。今時、そんな方が居られるなんて、羨ましいと思う前に呆気にとられていると、海岸近くの 別荘地 に住んでいて、

夏は自家用の釣り船で フィッシング、飽きたら ポルシェ 356、フェラーリ・ディーノ、旧型ベンツ で旅行、冬の釣りは風邪を

ひくからと、鉄砲で ハンティング、なのだそうな。その話は 日本国内 の事なのか?、自家用ジェットヘリ も所有なのかと

思ったら、空モノ は無いよ、免許持ってないから、との お話 で、何故、旧式の車ばかりなのかと尋ねれば、壊れないから、

不具合は直るから、直せば快調でしょ?、直ぐに買い替えたら、せっかくの車に失礼だ、との見解で、一般庶民 には理解

できませぬ。ディーノ は車内が異常に狭く、エアコン など無い。信号待ちで横についた改造された 大型バイク の排気音

など聞こえないほどに、ディーノ エンジン は五月蝿く、扱い難い。運転 テクニック は どうなのか?、修理後の 試運転 で

助手席に乗った プロメカニック が驚くほどの ハイテクニック な走法、尚且つ安全に、エンジン と シャーシ の性能を極限

までに、ディーノ の声も高らかに。6気筒 エンジン の リッター バイク の キャブレター 調整 ができれば、整備士 として

一人前 だと云われるほど、多気筒キャブ の整備、調整は難しい。ディーノ には 3個 の キャブレター が装着されている

そうで、乗用車の場合、平地 から 高台 への 気圧の変化 にも敏感に反応。標高が上がれば空気が薄くなって 空燃比 が

変わるので、エンジン の調子が悪くなる前に、一々キャブ を調整しなければならないのは、どうなのか? と、聞けば、平地

と、高地の 混合器 の ギャップ平均値 から キャブ を合わせているそうで、エンジン の吹き上がりが悪くなったら、合わせ

ればいいんでしょ?、キャブ調整 も出来ないなら乗るな、との事。アイドリング時 の キャブ設定、低回転 から 高回転 の

アクセル の付き、エンジン回転の上がり、下がり具合を キャブレター だけで制御させるのは、並大抵では出来ない。

アクセルぺタル から足 を離しても、引っ掛かって キャブ全開 のままだったら、なんてことを考えたら恐くて乗れない、

好きじゃなければ扱えない。最近の乗用車、スポーツカー は面白くない、電子制御 された快適な装備など走りに関係

ない、エアコン が無ければ、暑ければ ウィンドウ を開ければ、オープン で乗れば、寒けりゃ 防寒服 を着れば良い、

梅雨時で スクリーン が曇ったら、肩を濡らしながら走れば良い、なのだそうですけれど、己の 国産車 の エアコン と、

ラジエターファン が壊れ、真夏の渋滞路で 水温計 が 急上昇、エンジン温度を下げるのに、暖房全開で 自分の靴の

ゴム部分 が融ける、灼熱地獄の ドライブ のようなものなのか?、お金持ち は大排気量の 新型 高級外車 しか乗らない、

壊れたら 携帯電話 で ディーラーさん を呼んで、レッカー 運搬、パンクタイヤ など自分では換えない、車の ワックス掛け

も洗車も 己 では作業しない、などと勝手に考えていたので、軽く頭を インパクト されていると、古い車 もいいけど、最新の

チューニングマシン も意外にイイね、BMW の アルピナ は高速安定性が抜群だった、サスペンション も ガッチリ、ハンド

リング の手応えは路面を 顕微鏡 の様に細かく掴めるほどだったけど、自分の娘が取り回しの良い、小さい 軽乗用車 が、

って言ってたが、運転初心者には危ないと乗らせていた。その娘さん、車検で ディーラー に赴いたついでに、左ハンドルは

乗りにくいから 右 に改造できないの?、ボディーサイド の ” 変な ” アルピナライン が気に入らないから剥がせないの?、

燃費が良くないのだけれど、と言って、営業マン を困らせたそうですけど、国産の 軽自動車 で良かったのかな?、との

お話、嗚呼ッ。

嗚呼、クルマ が壊れた、修理代が、オイル が 湧き水 のように、エンジン からの炸裂音が、部品供給が、解体屋さんで

買いたいのに、その部品だけが無い、しかし、修理も楽しみの内、などと考えていられるうちは未だ良いが、お金 が有っ

ても時間の余裕が無くとも、ピカピカ に磨き上げられた 国内外 の 高級車 が ” 雨 ” に濡れるからと、ドライブ を中止、

雨汁 を被ったら 水垢 がつく、丁重に、などという ギャグ のような 与太話 よりかは遥かに良いとも思うが、外交官

ナンバー の 白人家族 を乗せた ロールス・ロイス の真っ白な オープンカー が小雨の中、「雨降ってきたね、とうちゃん、」

「これ位の雨なんぞ、」 「あらっ、あなた、もっと降ったほうが天然の シャワー のようで気分いいわ、日本は雨が多いの

ね、」 「もっと降って、車内の プール で泳げたら楽しいかもよ、」 と喋っているかも判らない余裕の生活は、ガソリン代

がぁ〜、などと小言を云っている私などには サッパリ。年収 の半分ほどの値段の車に乗るのが丁度良い、と云われている

そうですけども、年収 が ゼロ円 だったら ∞、無限大 ですかね、えっ?

ホコリ だらけの イタリアンカー

壊れなければ 車 ではない、毎日 乗って調子の変わる 有機体 のような乗用車でなければ面白くない、イタリア車 が壊れる

のではない、国産車 が壊れないように作ってあるだけだ、つまらない、などと云えるのは お金 有っての モノダネ で、車を

洗っただけで ウインド スクリーン から漏水、真夏の渋滞に ハマッただけで、エンジン照り焼き、オイル滝、エアコン壊れて

滝の汗、複雑怪奇な エアサス、油圧サスペンション、暫く走って道路のうねりで ピョンピョコ 蛙のように跳ね始め、ハンドル

そえ切り、ロック状態なだけで別の意味の パワステ に切り替わり、ついでに クランクシャフト が捻じ切れ 廃車 の 高速

一本槍、などというのは、車の点検が車検のみ、マニュアル通り、制定書類 を作るだけ、細かな整備なんぞ金が掛かる、

壊れそうじゃないから、車検が通れば、走れば良い、などと ホンダ の スーパーカブ のような、雨風雪霰 炎天下、梅雨時

湿気充満、荷物満載で酷使され、エンジンオイル切れでも壊れない、オンボロ の ガッタガタ、何万キロ も走って漸く 廃車

の ” スーパー ” カブ とは大違い。只の 車 ではない、実用車 でも 一味違う、俺達の作りたいように作った、文句あっか?

少々使い難くとも、ドア の開閉 レバー が変な所に付いていても、車内が ガソリン臭くとも、タイミングベルト の耐久性が

無くとも、新車 の時から ボディー が潰れたような先進奇抜な デザイン だろうが、オートマティック ミッション の ギヤ が

切り替らなかろうが構わん、そんなものは調整で直る、嫌なら イタリアン車 に乗るな、と云われているようで逆に初々しい。

(フランス車は ? ) 元 国営企業の フランス の 自動車メーカー の会長さんが、世界中で売れている 日本製の車 視察の

為、態々、専用ジェット機 で御来日、デザイン は平凡だけど、インパネ や センターコンソール に並ぶ、多くの ボタン類 を

押しながら、操作系の制御の完璧さ、エンジン の静かさに御満悦、「これをうちの 会社 で作ったら、新車の時から操作

ボタン が半分しか動かない、作動しないよ、凄いね 品質管理 は、面白くないけど、」 と、のたまった、じゃなかった、

貴重な御意見、御感想を述べたそうですけど、企業形態が大らかなのか イイ加減 なのか、余裕があるんだか無いんだか、

中々面白いですが、が ? 。

つづく。