オーディオアンプ 修理顛末記

スイッチ の接触不良など 耐久性ゼロ の某国産 オーディオアンプ に嫌気が差し、リサイクルショップ へ良い

中古がないかと出向いてみると、当時 20万円の国産アンプを発見、その場で購入。自宅へ持ち帰り聴いたら

耐久性ゼロアンプ とは雲泥の差。しばらくそのまま聴いていると気のせいか 「 シャリシャリ 」 と雑音が聞こえる。

空耳ではなく何処かおかしい、ならばとバラしてみる。ハンダの浮き、スイッチ洗浄、素人でも出来そうな箇所を

弄ってみたが シャリシャリ音、直らず。20年も経っているので コンデンサー か?、しかし部品交換などすればもう 1台

アンプ が買えてしまう。細かい埃が原因なのかと、自宅の風呂場へ持っていき家庭用洗剤と シャワー で内部を洗浄。

電気製品に水分は厳禁だが、完全に乾燥させれば良いと聞いた。結果は、雑音も無くなり低音域が増えて ユッタリ

鳴るようになった。しかし、使っていくうちに スイッチ不良 が出始め、インターネット で検索すると、ガリ の出た

スイッチ は交換するのが 一番、との説明。もっとよく調べてみると、古くなった電化製品、特に オーディオアンプ は

長年の経験と蓄積、ノウハウが無ければ難しいとの記述がある。ならばこの アンプ を実験材料に使おうかと考える始末。

実験材料 ダミーアンプ

オーディオ が流行っていた頃、専門誌を買って どれを購入しようかと あれこれ考えているのも楽しかったが、

今は不景気で そんな事をいっている場合じゃないそうな。それにしても お金持ちの方はいるもので、何百万も

するような 巻貝型スピーカー や消費電力 1000W の時代に逆行するような ストーブアンプ、家屋が倒壊しそうな

重量級アナログプレーヤー などの画像が載っていて面白い。オーディオ雑誌の中から 改造アンプ の記事を探し出して、

読み直してみると高価な オーディオアンプ を自分なりに改造、調整している方の記事だった。アンプ の上に蜘蛛の

巣のように配線されていて、コンデンサー や、金属皮膜抵抗、コイル がぶら下がっていた。その画像を知人に見せた所、

「なんだこりゃ、こんな事やっても意味が無い、全体のバランスが崩れる、製作した奴の頭が壊れている、

こいつ (放送禁止用語) だよな!」 と意見を述べていた。別の知人に見せると 「流石だな、判っている、突き詰めると

こうならざるおえない、贅沢な部品を適切に配置してある、音楽的に不満があるから改造したんだな、凄い!」 と

全く違う意見だった。何が凄いんだかは判らなかったが、同じ画像を観て、言う事が こうも違う人間が いるのだけは

理解できた。この意見を纏めると、ガリガリ博士 のような 狂ったフィクサー だが、天才的な能力を秘めた孤高の

人間という事になる。(えっ?)

オーディオアンプ は、妥協の産物なのだそうな。性能を突詰めていくと、シャーシ から電源部、細かい部品まで吟味して

回路設計も妥協なく製作すると とんでもなく 製造コスト が掛かるので、使用部品を省略しているそうな。また逆に、

シンプルな回路、なるべく少ない部品で製造したほうが、素直で ノイズ の少ない アンプ ができるという話もある。

設計者の考え方によっては、同じ音楽を鳴らしても音質が違うのだそうな。重箱の隅をつっつくような細かい事ではなく、

全体の雰囲気が全く異なる鳴り方をして、さらりと聴かせたり、音の密度が濃く原音に音が追加されているように

鳴らしてくれる場合もある。Hi−fi (原音忠実再生) の考え方なら 音楽ソース を増幅させれば良いだけだが、

ソース自体 生演奏とは程遠い代物なので、わざと音を追加したり中低音を強調したりと様々。自分が良いと思った

再生機を使用するだけだとは思うが、これが面倒な作業。

マークレビンソン という高価で 残留ノイズ の少ない アンプ があるが、元々は マークレビンソン という方が、良い音で

レコード を聴きたいが為に、自分用に製作したものだそうな。回路設計から配線実装まで一人で行い、それが評判と

なって レビンソンブランド として販売。その当時、プリアンプ ひとつで 100万円以上の高価な オーディオ機器

だったが、レビンソン自身が コツコツ と配線している線材が銀線だったり、1つ 5万円もする ドイツ製のスイッチ を

使っていたりと、そんなに高価なものではなく、もしかして安い買い物なのでは? と思えてくるから不思議なもの。

初期の アンプ の画像を、よく良く拝見させて頂くと、普通の アンプ と何処かが違う、と思ったら、電源スイッチ が無い。

プリアンプなら消費電力も少ない、常に通電させて温めておくほうが音が良いそうで、貧乏性には キツイ限りな こってす。

その マークレビンソン、繊細で神経質な完璧主義者だったそうな。その当時、物理的に可能な限りの妥協を排した

完全なものを目指して、(ピー) さながらで、もうチョッとで精神が逝ってしまうところだったそうな。

たかが オーディオアンプ を作るのに、(ピー) になるのも どうかとは思うが、流石 オーディオ界の伝説、レビンソン。

音楽ソースを余すことなく増幅して、ノイズ も極限まで排除、ほんの少しも削らず余計な音も くっ付けず、澱みなく

スピーカー を鳴らすことが出来るその レビンソンアンプ、まるで測定器の様。リファレンス、基準器としてなら良いと

しても、音楽を楽しむ為の増幅装置としては余りにも高価で神経質。まるで レビンソン が乗り移ったような、稀少で

御高い アンプ など貰えるものなら戴きたいが、周波数特性の劣る 真空管アンプ や古臭い 蓄音機 の音のほうが

聴き心地が良いのは、それらの骨董機材そのものが ” 楽器 ” だから当たり前という話がありますが、どうでしょう。

レコード針の パチリ音 も聴こえない、かまぼこ特性の低音の豊かな音が、いやっ、高音の キンキン する、ガチガチ

キッチキチ の硬い音質が好み、と嗜好は様々だが、音の解像度、鮮明度を ドンドコ上げていくと録音製作時の

テープヒス まで聴こえてきたりして、ミュージシャン や音楽家の演奏曲ではなく、録音スタジオ の再生音を聴いている

ようで、何だか面白いような つまらないような。

つづく。